オブザーバーとして参加します。
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日 時: 2月3日(土)
時 間: 14:00~16:30 (受付13:45~)
場 所: 三鷹天命反転住宅
講 師: 荒川修作
オブザーバー:鈴木健(株式会社サルガッソー代表、国際大学グローコム主任研究員)
募集人数: 先着30名まで
参加費:一般 2500円 学生 1500円 (共にワン・ドリンク付)
※学生の方はご入場の際に学生証をご提示いただきます
今日はCシャツという小さなプロジェクトの話をしよう。
今年にはいって、クリエイティブ・コモンズをはじめとするオープンコンテンツの未来を考え、ADOC(Application Driven Opensource Contents)という概念が重要だという認識に至った。そのアイデアをまとめ、wikiとwikipediaのような「アプリケーションとコンテンツの幸せな関係」を構築することが、オープンコンテンツ普及の何よりの駆動要因になることを、情報通信ジャーナルという雑誌に寄稿した。
この原稿は4月に書いたものだったが、ほぼ同時期に、ADOCに興味があるメンバーを国際大学GLOCOMに集めて小さな会合(と飲み会)を開いた。そして9月、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン主催セミナーのパネル・ディスカッションの企画と司会を依頼されたとき、ぼくの脳裏にこのメンバーの顔が即座に思い浮かんだ。
彼らの力を借りればCシャツが実現できるかもしれない。イベントのわずか3週間前だったが、Cシャツの企画書をADOC-MLに送った。のりのりのメンバーは、当日の予定を次々にキャンセルし、「クリコモのWeb2.0的ライフスタイル ~未踏クリエーターの創造する風景~」に集った。類まれに優秀なメンバーの力を集約し、Cシャツはパネル当日の朝に稼動を開始した。
同じくパネラーとして参加したローレンス・レッシグ教授は、多少のおせいじはあるかもしれないが、以下のようにこのパネルを総括した。
「私がCCのイベントに参加してきた中でこれほど興奮する内容ははじめてだと思います。(中略)これほどパワフルですばらしいものを見たことがありません。感銘を受けました。これをWeb2.0と呼ぶのは失礼かもしれません。Web3.0とかWeb4.0くらいまでいっていると思いますよ。
」
このコメントをはじめとして、パネルの様子は、ソフトバンク・クリエイティブのサイトからCCライセンスつきで動画配信
されている。ロフトワークのサイトでも、写真つきでレポートが載っている。
朝日新聞でも記事になり、icommonsのウェブサイトでも取り上げられた。
【Cシャツのストーリー】
さて、Cシャツとは、一体どんなサービスなのだろうか。パネラーの紹介とともに、このサービスのコンポーネントを説明しよう。
尾藤正人は、ウノウ株式会社のCTOで、2003年度未踏ユースに「みかん - サーバ自動選択型FTPサーバの開発」で採択されている。ウノウでは、日本版Flikrともいえる写真共有サービス「フォト蔵」を開発、多くのユーザを集めている。フォト蔵は日本でもっとも早くCCを採用したネットサービスのひとつであり、CCライセンスで公開された写真をAPI経由で検索することもできる。
洛西一周は、慶應義塾大学修士課程の大学院生で、人気フリーソフト「紙」の作者だ。2003年度未踏ソフトでNOTAを開発し、スーパークリエータに認定された。洛西の開発するNOTAは、Flashをベースとしたウェブデザインツールで、ウェブ上で直接オーサリングすることができる。その意味でwikiに近いが、WYSIWYGでレイアウトができるので、ユーザビリティは圧倒的に高い。また、NOTAはソーシャルウェアのプラットフォーム的な存在でもあり、任意のFlashアプリをその上で実行させることができる。
神原啓介は、はてなのエンジニアで、Willustratorというウェブ版のIllustratorを個人で開発し、2005年度の未踏ソフトでスーパークリエータに認定された。Willustratorは単にイラレをウェブにもってくるというだけではなく、CC創作の連鎖を可視化させ、リミックスを自然に行うことができるようにトータルに設計されている。
安斎利洋は、コンピュータアーティストとして、このような創作の連鎖を生み出すワークショップをこの十年の間に数百回も行ってきた。その活動は、連画やカンブリアンとして知られている。2005年度の未踏ソフトでは、このカンブリアンを発展させ、スーパークリエータに認定されている。安斎の開発した連鎖を可視化するソフトウェアは、非常にクオリティが高く、私は見るために眩暈を覚える。
彼らの作品をマッシュアップし、私は以下のようなストーリーを考えた。
君が街を歩いていると、なかなかよさげなTシャツを着ている人がいる。Tシャツに印刷されているQRコードを携帯で撮り、URLをゲットする。家に帰ってPCからURLを開くと、君が街で見たTシャツのデザインがNOTA上に表示されている。日本版flikrともいえるフォト蔵で公開されている12万枚のCCライセンスの写真から、好きな写真を検索して貼り付けることもできるし、ドロー系のイメージをwillustratorで直接編集して、ロゴの曲線を好みの形に変形させることもできる。あるいは、NOTAで文字を追加して、メッセージ性を強く押し出すことさえできる。注文ボタンを押せば、ドロップシッピングサイトのfactioに連携し、そのデザインのTシャツは2週間もすればあなたの手元に郵送されてくるだろう。そして、そのTシャツが、また誰かの派生元になるかもしれない。
Cシャツはまだアルファレベルだが、あなたは実際に誰かのTシャツをリミックスして、Cシャツを発注することができる。ロフトワークに登録する4人のクリエータと安斎利洋さんから素材を提供してもらっている。それらを自由に使ってもらってもかまわない。
【Cシャツ、その可能性の中心】
Cシャツの可能性の中心とは何だろうか。
1.ソースを意識しないウェブオーサリング
通常、Illustratorのデータを共有したければ、".ai"のファイルをアップロードしたりダウンロードしたりという操作が必要になる。これに対し、NOTAやWillustratorで他の人の作ったコンテンツをリミックスするときは、ソースを意識する必要はない。なぜなら100%ウェブで動き、データも常にサーバー上でコピーされるからだ。アップロード、ダウンロードの手間隙を劇的に下げるだけではなく、そもそもIllustratorを持っていない大多数のユーザに対しても、オーサリングの自由度を与えることができる。実際、Wiustratorの開発者の神原氏は、Illustratorを持っていないので自分で作ったそうだ。
2.誰もが微remixing
買い物に行ったときに、だいたいよいけど、ちょっとだけ気に食わない、ということがないだろうか。Cシャツは、オリジナルのTシャツのデータを自分で編集できるので、誰でもちょっとだけremixingができるようになる。誰もが一からコンテンツを制作できるクリエーターというわけにはいかないが、ちょっと書き換えるだけなら誰でもできる。
3.CCコンテンツがサイトを越えて再利用
Cシャツでは、フォト蔵にアーカイブされた写真をNOTAに取り込んだり、willustrator上のデータをNOTAでレイアウトしたり、NOTA上のデータをドロップシッピングサイトの
factioに受け渡したりされている。CCコンテンツは、サイトの間を自由に行き来する。現在、CCコンテンツがサイトの垣根を越えて利用されることは少ないが、こういったコンテンツの再利用のされ方こそ、CCが本来目指していることなのだ。
4.ネットとリアルの連動
ネットで作られたものがリアルのTシャツになり、そのTシャツを見た者がネットに触れるというように、ネットとリアルが見事に連動している。このことは、「生活全体」に対してオープンコンテンツが影響力を持つことを示している。オープンコンテンツが生活全体に普及しなければ、われわれの価値観は決して変わることはない。
5.オープンコンテンツのまま報酬を分配可能
CCライセンスのコンテンツがサイトを超えて連動し、最後にはネットではなくリアルなグッズとして販売されるので、報酬を逆伝播させて支払うことも可能だ。これはすべてが投資の貨幣、伝播投資貨幣PICSYの発想ともよくあう。コンテンツをオープンライセンスで公開することに対して、経済的なインセンティブをつけることも可能になるのだ。クリエータに報酬を分配することは重要だ。それは結局、多くのクリエータをオープンコンテンツの世界に誘導させるインセンティブを与えるからだ。
ローレンス・レッシグは、このうち、3つ目の「サイトを超えた再利用」と、5つ目の「クリエーターのインセンティブ」について、特にCシャツを評価している。
Lessig Letterで、レッシグは以下のように論じている(英語:日本語)。
C-shirt が重要なのは、それがヴェルサーチに取って代わるからではない。そうでなく、我々が Web 2.0 の原則をコンテンツ層に拡張する可能性を示しているからこそ C-shirt は重要なのだ。これまでのところ、Web 2.0 まわりの興奮の多くは、容易に交流し合うのを可能にするモジュール技術に関するものだった。CC は容易に交流し合うのを可能にするモジュールコンテンツの構築を容易にする。創造のコミュニティは、このようにコンポーネントがこうした共同作業を明確にひきつけるようになって実現可能になる。
これが CC の重要な狙いの一つである:ウェブにおける多様な創造的なプロジェクトが交流し合うのに必要な自由を実現する、コンテンツ層における単純で、フリーで、しかも伸張性のあるインフラの構築である。
【Cシャツの未来】
パネルの後、10月26日にMicrosoft主催のREMIX Tokyoというイベントで、Cシャツのワークショップを行った。
12月のロフトワークさんのクリスマスパーティでもCシャツのイベントが行われる予定である。
その後。。。いまのところ考えているCシャツの未来は以下のようなところだ。
・多言語、多国対応をする。
・ネットとリアルの連動を追及し、Second Life上のシャツを買えたり、逆にCシャツをSecond Lifeで着れるようにする。
・サッカーのワールドカップを目指して、CシャツではなくCボールをつくる。
Cシャツプロジェクトは、多くの人々の協力を得て進められている。ここに、そのうちごく一部の人の名を、感謝とともにあげておこう。
コーディネートチーム
ドミニク・チェン
松本昂
小石祐介
野口祐子
テックチーム
洛西一周(NOTA)
神原啓介(Willustrator)
尾藤正人 (フォト蔵)
石井学
アーティスト
安斎利洋+中村理恵子
ロフトワーク登録デザイナー
Takako
JUN OSON
J2
しげ
サポート企業
株式会社ロフトワーク
林千晶
小林利恵子
藪下さん
有限会社Pied Piper (factio)
津上和徳
山田進太郎
株式会社サルガッソー
企画・プロデュース:鈴木健
Cシャツそのもののオリジナルのアイデアは、国立情報学研究所助手の大向一輝と、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン事務局長の野口祐子とのブレストで生まれてきたものだ。
リアルオプションやゲーム内経済学の研究で知られる山口浩さんと、11月16日にGLOCOMでセミナーをします。
申し込みが多いそうですが、まだ余裕があるそうなので申し込んでみてください。
ぼく自身とても楽しみにしてます。
この日の午前中は伊藤穰一さんとのセミナーもあって、忙しい1日になりそうです。
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http://www.glocom.ac.jp/project/iecp2/2006/11/post_122.html
概要
オンラインゲームなど、インターネット内の仮想世界の中に「経済」現象が発生している。この「仮想経済」は、現実経済と同程度のシビアさを持ち始め、インターネット全体、ひいては現実世界の経済全般に影響を与えるものとなりつつある。
一部の先進的な企業や研究者はこうした現象に注目し始め、オンラインゲームの統治制度や貨幣システムの今後の大胆な発展に少なからぬ注目がなされている。こうした現象の状況を概観し、その将来へ向けたインプリケーションを考える。
まずMMORPGなどの事例をもとにゲーム内の経済の動きの研究を行う、駒澤大学助教授の山口浩氏から「ゲーム内経済学:仮想と現実の出会う場所」というテーマで、発表いただき、次にまったく新しい通貨制度である「PICSY」の実装を目指すGLOCOM研究員の鈴木健から「仮想と現実がリアルタイム連動する世界」というテーマで発表する。
講師プロフィール
山口 浩(やまぐち・ひろし)
筑波大学大学院ビジネス科学研究科修了、博士(経営学)。日本興亜損害保険(株)、(財)国際金融情報センター審議役を経て現職。研究分野はリアルオプション、予測市場、仮想経済。日本デジタルゲーム学会理事。日本リアルオプション学会理事。主な著書に「リアルオプションと企業経営」(エコノミスト社、2002年)、共著では「金融・契約技術・エージェンシーと経営戦略」(東洋経済新報社、2006年)等がある。
鈴木 健(すずき・けん)
国際大学GLOCOM主任研究員、サルガッソー代表取締役社長。
1975年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科 博士課程単位取得退学。
複雑系の理論認知科学の研究を行う傍ら、電子貨幣・地域通貨の研究を続け、伝播投資貨幣「PICSY」の研究・実装に取り組む。PICSYプロジェクトは2002年にIPAの未踏ソフトウェア創造事業に採択、天才プログラマー/スーパークリエータに認定される。共著書に「NAM生成」「進化経済学のフロンティア」。
参加費
国際大学GLOCOM研究協力委員会およびIECP会員、GLOCOMメーリングリスト参加者は無料。一般の方は5,000円、学生は2,000円を当日お支払いください。
申し込み方法
ご所属(貴社名・学校名)、所属部署、役職、ご受講者、TEL、FAX、E-mail、郵便番号、所在地を明記の上、info_iecp@glocom.ac.jpまたはファックスで03-5412-7111までご連絡下さい。
講師:山口 浩氏(*1)、鈴木 健氏(*2)
所属:駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部 助教授(*1)、国際大学GLOCOM主任研究員、サルガッソー代表取締役社長(*2)
日時:2006年11月16日(木) 午後2時~午後5時
要するにあらゆる化け物をいかなる程度まで科学で説明しても化け物は決して退散も消滅もしない。ただ化け物の顔かたちがだんだんにちがったものとなって現われるだけである。人間が進化するにつれて、化け物も進化しないわけには行かない。しかしいくら進化しても化け物はやはり化け物である。現在の世界じゅうの科学者らは毎日各自の研究室に閉じこもり懸命にこれらの化け物と相撲(すもう)を取りその正体を見破ろうとして努力している。しかし自然科学界の化け物の数には限りがなくおのおのの化け物の面相にも際限がない。正体と見たは枯れ柳であってみたり、枯れ柳と思ったのが化け物であったりするのである。この化け物と科学者の戦いはおそらく永遠に続くであろう。そうしてそうする事によって人間と化け物とは永遠の進化の道程をたどって行くものと思われる。化け物がないと思うのはかえってほんとうの迷信である。宇宙は永久に怪異に満ちている。あらゆる科学の書物は百鬼夜行絵巻物である。それをひもといてその怪異に戦慄(せんりつ)する心持ちがなくなれば、もう科学は死んでしまうのである。
以前にも取り上げた文章ですが、また別のところを引用しました。
先日、国立科学博物館で、化け物の文化誌展をしていたので行ってきたら、壁に上記の部分が大きく描かれていました。
時間がなかったので、南方熊楠の粘菌に対する情熱と、お気に入りの生物多様性と霧箱をみて帰ってきました。これで500円は安いなあ。
今度、9月26日(火)に、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのセミナーが六本木の国際文化会館 新ホールで行われます。CNETブログでおなじみのスタンフォード大学のレッシグ教授も参加するこのセミナーのパネル・ディスカッションで、司会を務めさせていただきます。詳しくは、CCJPのプレスリリースをご覧ください。
3:30~5:00 【パネル・ディスカッション】
『クリコモのWeb2.0的ライフスタイル ~未踏クリエーターの創造する風景~』
Lawrence Lessig(スタンフォード・ロー・スクール教授、クリエイティブ・コモンズ創始者兼理事長)
神原啓介 (はてな社員/ Willustrator開発者)
尾藤正人 (ウノウCTO / フォト蔵)
洛西一周 (慶應義塾大学 政策・メディア研究科、NOTA開発者)
安斎利洋 (連画/カンブリアン)
林 千晶 (ロフトワーク 取締役)
ただのパネルではつまらないので、今回のパネルにあわせて、近未来に実現できそうな街の風景をデモしたいと、いま準備を進めているところです。
ある日、街を歩いていたら、とてもおしゃれなTシャツを着ている人を発見。QRコードがついているので、携帯カメラで撮ると、そのTシャツのデザインID
が記録される。家に帰ってそのIDを開くと、NOTAが開いてラスター画像は
フォト蔵、ベクター画像はwillustratorで編集ができる。それらの画像は
CCのライセンスがついている。ちょっと色が気に入らないので、willustratorで
編集して、発注ボタンを押すと、世界であなただけのTシャツが発注される
とともに、あなたがデザインしたTシャツが他の人の派生元にもなる。
とまあ、こんな感じになるはずです。
あとは、今回のパネラーのうち5人はIPA未踏ソフトの採択者というのも面白いところかもしれません。
まだ枠があるようですので、興味のある方は申し込みください。