drinking party computing 飲み会を楽しくするコンピューティング

飲み会について熱く語ろう。

drinking party computingは、飲み会をコンピュータを使って支援するという分野である。なんてあるかのようにいうけど、2時間ほど前に、飲みながら名前をつけたオリジナルコンセプトだ。この概念自体は、去年末に、この4月からGalapagos Editorの開発をしている石井くん(首都大学東京 博士課程)と初めて会ったときから存在する。

話は、究極のグループウェアに求めるものという大変古いエントリーからはじまる。

会社で働いてみて、必要なコミュニケーションの類型は4つあることに気がついた。

1.決起集会

月1回とか年1回、会社全員や部署全員で集まって行って激をとばしたり、意識を統一する。毎日やる場合はラジオ体操という技もある。いまのところはMLかメルマガがベスト。

2.会議

会議の運営の仕方が下手な人がいるが、会議運営をフォーマットにしてしまうアプリケーションが必要だと思う。これについては一家言あるつもりだ。よいアプリはない。

3.机

基本は1対1。ちょうど会社で誰かの机に近づいていって話を聞いたり、議論するようなもの。いまのところWindows Messangerがベスト。

4.タバコ部屋

会議ではでない話がタバコ部屋では出る。会社によっては重要な決定はタバコ部屋で行われるらしい。別の形態としては、ランチミーティングというのがある。いまのところ、IRCがベスト。

年末、クラブで飲みながら、石井くんにこの4類型について話したときに、タバコ部屋もあるけど「やっぱり飲み会が大事だ」と盛り上がった。石井くんは無類の酒好きなのである。というか、酒を飲みながらじゃないとコードが書けないという大変めずらしいハッカーだ。飲めば飲むほど書きたくなるらしい。

drinking party computingは、joint computingの一貫である。飲み会が4.タバコ部屋からでたアイデアだけど、2.会議はエクストリームミーティングでやっている。ということで、着々と実現に向けて動きつつある。

このように、複数の人が

1.同時に

2.同じものに

注意を働かせるということがコミュニケーションの基礎にある以上、そのようなコンピュータを考えていくことはとても重要なのではないだろうか。非同期で同じものを注意させるもの(たとえばグループウェア)や、同時に違うものを注意させるもの(パーソナルコンピュータ)でジョイントコンピューティングを実現しようとしても限界がある。

joint computingは、乱暴にいえば、personal computingとその連携としてのnetworkというパラダイムで実現できないコミュニケーション全てを対象とするコンピューティングパラダイムである。

joint computingの例として、以下のようなものがある。

meeting computing

drinking party computing

living room computing

会議のダイナミクス、飲み会のダイナミクス、リビングルームのダイナミクスを無理やり、PC+networkにしようとしても絶対に満足感は得られない。

drinking party computingの例として、いまのところ二つのアイデアがある。

石井くんは、今年のはじめくらいにスウェーデンに飲みに行った。飲みに行ったのに、そのパーティの支援システムの開発をすることになった。これはとても簡単なシステムだが、面白い。グラスにバーコードをつけて、ビールを一杯いれるごとにバーコードリーダーでピピっとやる。すると、その人が何杯飲んだか分かるので、それをプロジェクタでランキング表示する。これだけで結構盛り上がる。

先日、東京芸術大学の某アトリエで、石井くんと植田くん主催の飲み会があった。アートとコンピュータと飲み会のコラボレーションというコンセプトで、このバーコードシステムの他に、入室者は自分の紙コップにまず水彩絵の具で絵を書くという作業を行う。絵を書くということによって、コップへの愛着は人一倍になるので、絶対に人のコップをとったりするというのは起きなくなるし、初めて会う人の書いた絵を見るという楽しみが増える。

もう一つのアイデアは、偏愛マップの支援システムと飲み会への適用である。偏愛マップは、斉藤孝によって考案されたコミュニケーションメソッドで、A4一枚の紙に自分が愛してやまない対象を絵や言葉で書いていく。「加藤ローサ」よりは、「ゼクシィの加藤ローサ」のようにより細かいほうが好ましい。こいつを飲み会でやると、やたら盛り上がることは一度やってわかったので、これをソフトウェアを使ってどう支援するかというのも、一種のdrinking party computingである。具体的な実装アイデアはいくつかあって、すでに石井くんがプロトタイプを作っている。

さて、今日は秘密結社sargassoの開発合宿中で、好例のブレスト大会がこの後あるのだけれど、今日のテーマはdrinking computing(一人飲み会も含む)にしようと思う。さて、どんなアイデアがでるか楽しみ、楽しみ。

あと、drinking computing研究会をつくろうと思うのだけど、興味のある人募集!