ISED サイバー空間と実社会を分離してはならない

ISED(情報社会の倫理と設計のための学際的研究)第1回設計研での、ぼくの議論に補足コメントをしておきます。

まず「情報社会の段階的整理と課題――「新しい社会契約論」の発明」というところについてです。ちなみに「新しい社会契約論」についてはほとんど説明してません。

ここでのぼくの主張は「サイバー空間と実社会を分離してはならない」ということにつきます。

さて、ここまでの第1期・第2期の話はたしかに大事なんですが、では自分にとっての問題と興味の中心はどこなのかというと、……実は僕、サイバー空間に興味ないんですよあんまり(笑)。僕にとって興味があるのは「社会」なんですね。

 こういうことです。みなさん、インターネットが普及して革命が起きたと思っている方が多いと思うんですが、僕は何も変わっていないと思うんですね。だって、みなさん東京に住んでいるでしょう?(笑) みんなどこかの組織に所属しているでしょう、というわけで何も変わってないじゃないか、と。これは要するにちょっとした空間をサイバー上につくったけれども、たとえば車でいえばレーシングサーキットつくってそこでぐるぐるまわっているが、社会全体は車社会になっていないという状態なのではないか。

あたかも、高速道路やレーシングサーキットについて議論している現在の情報社会論ではなく、日常と生活に偏在(ユビキタス)化された情報社会論をを展開しなければなりません。

レッシグスキーマシカゴ学派の四規制説)に一度はのった上で、現在ちまたで主流の情報社会論(レッシグ,2ch論,ネットコミュニティ論等)には、ぼくは本質的なレベルでは興味がないということを宣言しているわけです。