PICSYのゴール(改)

昨日のPICSYミーティングと忘年会の議論をうけて、PICSYのゴールを書き直します。こいつはIPAX Winter 2004のパネルとして使おうと考えている。

1,2,3はPICSYの主な目標である。

4はオプションの目標である。

5,6,7,8はPICSYの利用促進と成長性のためのものである。

9,10はそのシステムにおける要求である。

11,12,13は既存システムとPICSYの整合性をとるためのものである。

1.組織の仮想化

 組織を貨幣レベルからバーチャルにすることがPICSYの目指すもっと野心的な目標である。そのためには、組織に貨幣を所属させないこと(決済貨幣的財務諸表の根本的な見直し)、組織を超えて価値が伝播すること、貨幣システムと人事評価システムのシームレスな融合、などが果たされなくてはならない。こうして、PICSYは貨幣システムであると同時に世界人事評価システムであることを目指す。

2.より主体的なコミュニケーションとライフスタイル

 組織に影響されたコミュニケーションのあり方は必ずしも主体的ではない。例えば、自分がよいと思った製品を売りたいと思っても、組織のロジックによってそれが可能ではないこともあるだろう。利益を上げるためにいかに客をだますかなどということが平然と組織内で議論されたりもするが、それらは組織の影響によって普通の人が行う。組織は、個人の嗜好性自体や選択肢自体をコントロールしようとし、われわれのライフスタイルをより平面的なものにしようとする。PICSYはコミュニケーションとライフスタイルをより主体的にすることを目指す。

3.公正性

 既存の資本主義では、貨幣と労働は対等でない。これは労働はあまっているが貨幣があまっていないことから生ずる。しかし、PICSYは貨幣と労働を対等にすることを目指し、これによってレントを減少させる。また、システムに対するチート(ずる)が無視できる程度まで小さくしなくてはならない。

4.情報財への高い応用可能性

 情報財は希少性を無理やりに作らないと価値として流通しないという特殊な性質をもった財である。PICSYは、ネットワークの文法に即し、情報財をより自由に流通させるための基盤として利用できることを目指す。

5.生産性の向上

 生産性が向上しなければ、広くPICSYが利用されることはないだろう。グローバルな最適化とローカルな最適化が異なるのが世の常だが、PICSYはグローバルな最適化を達成することによって生産性の向上を目指す。

6.小さく始めて大きく統合(Starting Small and Integrating Large)

 既存の経済システムをいきなり置き換えるということができない以上、小さくはじめて大きく育てることができなくてはならない。複数PICSYの統合も可能でなくてはならない。

7.法貨との共存

 法貨と共存し、その中でPICSYが成長するシナリオとシステムを目指す。

8.直感的

 利用者にとって分かりやすく使いやすいものでなくてはならない。

9.ハイスケーラビリティ

 システムが大規模化しても、必要なリソースが枯渇したりパフォーマンスが悪化しないようにしなければならない。

10.ハイセキュリティ

 セキュリティの面からも個人情報保護の観点からも高い信頼性を確保しなくてはならない。

11.安定性と革新の共存

 既存の経済システムが持っている安定性と革新(イノベーション)の共存を、同じがそれ以上に達成しなくてはいけない。

12.価値の多様性を制限しない

 既存の経済システムが持っている価値の多様性を、同じかそれ以上に達成しなくてはいけない。

13.あらゆる既存システムとの連続値的接合

 既存経済システムを、PICSYの内部でエミュレーション可能である(連続値的にPICSYとSECSYを行き来できる)か、PICSYの外部のシステムと連携可能でなくてはならない。