PICSYにおける時間の概念について

 PICSYには2つの時間があるとよく説明しているが、実は3つの時間がある。1つ目の時間は実時間、われわれが生きている時間である。2つ目の時間はマルコフ連鎖の時間。3つ目の時間はカンパニー解体の時間である。カンパニーの解体がなぜ時間なのかというと、要するにマルコフ連鎖に落ちる前にカンパニーを解体するのと、マルコフ連鎖でパーソンが一回の計算をするたびにカンパニーに関しては無限回数の伝播計算をしていること、は等しいからだ。

 要するに、可算無限を2回繰り返している時間構造こそがPICSYの時間概念なのである。(実際には可算無限までやらなくてもある誤差で収束する)

 今日、道を歩いているときに突然気がついたので、電車の中で記す。このことは、非常に面白い発展性を導く。すなわち、パーソンが1回計算するたびに、有限回(たとえば2回)計算するようなアクターが存在すれば、パーソンとカンパニーの中間的な存在のアクターになる。実は、このアクターは同じアローの出入り関係をもつ二つのパーソンを用意して計算した後に貢献度を足し算するのとたぶん等しい。別に自然数倍の必要はない。1.5倍でもかまわない。有理数倍の場合は、周期がいつかそろうので振る舞いは収束するだろう。問題は、虚数倍の場合だ。周期無限大になるので、カオティックな振る舞いをする可能性がある。

 いずれにしても、このようにして3つの時間を統一時間化してしまえば、連続時間の力学系の問題になるような気がする。こいつを分散環境で計算することが可能なのではないか。これは、アクターに対してシステム側からウェイトを設定することができる評価方法の汎用の手法となりうるのではないか。これは、PICSY人事評価の委任の仕組みを高度化したり、PICSYを分散検索エンジンに応用するとかの話の基礎になる気がする。

時間があるときに数式化してみよう。