Gumonjiを利用した2つの文化の中間を狙う情報財の流通

CNETの梅田さんのblogで川野さんにちょっと紹介してもらったからというわけではないが、土曜のロージナ大酒飲会で発表するネタを、今日はメモっておこう。中嶋さんよんどいてね。

【背景】

 情報財の知的財産は、大きく2つの世界に隔てられている。すなわち、贈与の文化と交換の文化である。

文化プロセスアクタージャンル所有概念
交換プロプリエタリ有償企業商業私有
贈与オープン無償大学学問公有

オープンソースの世界は、思想的にも、現実に成したことにしてもすばらしいが、その限界も明らかである。すなわち、オープンソースではお金がまわらないのである。オープンソース開発ができるのは、大学に所属しているエリートか、余暇でプログラミングができるようなよっぽど余裕がある人たちである。しかし、それ以外の大多数は、有償のソフトウェアを開発していくしか生きていく道がない。

また、事をプログラム以外の情報財一般に広げ、たとえば音楽をみてみると、結局のところ、フリーミュージックやインディーズでデビューしてもメジャーデビューしないと莫大なお金を得ることができないので、優秀なアーティストはメジャーに所属することになるのである。

すなわち、オープンでかつお金がまわるような、ちょうと二つの文化の中間を狙う情報財の生産と販売のしくみを構築する必要がある。その第三の文化を互酬の文化とよぼう。

このような次世代の貨幣システムは、次の3つの性質を満たしていることが望まれる。

・オープンネス

 情報財の利用が誰に対しても開かれている。

・再利用の促進

 クリエータ同士のソースの再利用が促進される

・ユーザとクリエータの垣根が低い

 ユーザが簡単にクリエータになることができる。そしてクリエータはユーザでもあり、その点も対価に反映されるべきだ。

・対価の循環

 すばらしくよい仕事をした人には、すばらしく莫大な収入が与えられる。その仕事に影響を与えた人にもそれなりの収入が伝播する。

【概要】

 Gumonjiで、プレイヤーが配置可能なbot(ロボット)を動かすためのスクリプトという情報財がある。このスクリプトGumonji独自の言語で記述され、ユーザが好きに書くことができる。また、スクリプト自体は、中央サーバで管理、実行することが可能である。

 このスクリプトを対象にして、情報財の流通をPICSYでコントロールする仕組みを作る。

●プロジェクトとカンパニー

 開発プロジェクトはひとつのカンパニーを形成する。プロジェクトの中の配分は、プロジェクト内で勝手に行う。(すでに、PICSY人事評価システムとカンパニーのシームレスな連携の素案があるので、それを利用してもよい。)

 すべてのプロジェクトのソースはオープンで、誰でも閲覧可能である。

●価格決定と調停

利用

 プロジェクトの成果物を実行する場合は、そのスクリプトの実行時間に比例してコストがかかる従量課金となる。プロジェクトは、各々単位実行時間あたりの価格を指定し、利用者はそれに従い支払う(実際には、メソッド単位での実行時間から、もっと細かい単位で対価を各人に分配することは可能であるが、多くの実行時間がCPU的に割り当てられるメソッドが必ずしも重要であるとは限らないので、このような自動化方法は一切採用しない)。この方式はいわゆる超流通だが、この方法以外での価格決定でもよい。

パッチ

 プロジェクトへのパッチの提供があった場合、その対価は、両者の話し合いで決める。パッチがマージされたのに対価が支払われなかった場合は調停となる。

組み込み

プロジェクトの成果物を組み込んで新しいソフトウェアを開発する場合、その対価は、両者の話し合いで決める。不法にソースが利用された場合は、調停となる。

 調停とは、Gumonji管理側が、両者の言い分を聞いて、どちらが正しいか判断をする司法のような役割である。

コモンズ

 ソース履歴はすべてリポジトリで管理され、一定時間経過したソースは、完全にフリー(ApacheライセンスやBSDライセンスと同等レベル)になり、Gumonji内のcommonsとなる。Commonsが勝手に私有(パブリックドメインではこれが認められている)されていないか、相互監視してもらう。