PICSY人事評価がはてなで採用

よく考えると、このブログはPICSY blogなので、PICSYの話をしたいと思います。

ここ1ヶ月は、PICSY関連でずいぶん進捗がありました。

人事評価とオンラインゲームがすぐできるPICSYの応用として有望だろうというのが、展示会などで数百人とPICSYについて話してみた結論でしたが、その2つに動きがあったのです。

まず一つ目は、11月の上旬に、PICSY人事評価が「はてな」で採用されたことです

PICSY人事評価とは、PICSY的なやり方で会社やプロジェクトのメンバーがピアレビューして、報酬分配をする方法のことです。普通のピアレビューと違うのは、評価されている人による評価は重み付けが大きいということです。では評価されている人がどのように決まるのかというと、それ自体が別の誰から評価されているかということによって決まります。

世界ではじめてのPICSY人事評価は、2002年度の未踏ソフトに採択されたPICSYプロジェクトの中で行われました。二回目のPICSY人事評価は、別の未踏ソフトのプロジェクトで行われました。この2つはぼくが関わったプロジェクトでしたが、今回のはてなのボーナス分配は、まったく第三者のしかも法人企業で行われたという意味で画期的です。たぶん配分金額も大きいでしょう。

この最初の試みの後、PICSY人事評価がどのような歴史をたどったかというと

1.2003年12月ごろ、新しくつくるベンチャーキャピタルの評価方式として使えないかという話があったが、その計画自体がなくなる。

2.2004年5月ごろ、楠くんが本気でPICSY人事評価を事業化して創業しようと検討してくれたが、次期尚早という結論になる。

http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20040531

http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20040601

3.2004年夏ごろ、某大手メーカーの中央研究所の人事評価として検討されたらしい(人づてで聞いた)が、うやむやになる。

と、いくつか挫折があったわけですが、2004年の11月ごろにはてなの近藤さんにPICSY人事評価の話をしたところ、大変面白がってくれて、ちょうど一年後の今年の採用となったわけです。

今回は、ぼくがrubyjavaの該当コードをお渡しして、それを近藤さんがperlに書き直して実行したわけですが、後から聞くと若干問題があったようです。そういうことが起きないように、だれでも簡単にPICSY人事評価ができるように、年明けくらいにPICSY人事評価のWebアプリを公開してみようかと思っています。

もともとのPICSY人事評価では委任という仕組みを設けて、互いにどんな仕事をしているかわからない人がいても大丈夫なようにしてますが、カンパニーという仕組みをさらにいれるとさらに改善されるのではないかと考えています。そういうのもできれば実装したいです。

ちなみに、PageRankPICSYPICSY人事評価の関係は、以下の図のようになります。

PageRank PICSY PICSY人事評価
行列計算を使った一般的な重み付き評価法

このように、PICSY人事評価はそれ自体ではPICSYではありません。けれど、PICSYのカンパニーと呼ばれる仕組みと組み合わせると効果を絶大に発揮するのでPICSY人事評価と呼んでいるのです。PICSYの真骨頂は、PICSY人事評価を何年間も繰り返していくときに発揮されるようになっています。