バークの「フランス革命についての省察」を読まずして革命について語ることはできないだろう。保守思想のバイブルともルーツとも呼ばれるこの本は、同時代の最高の文章家であるバークによって書かれたフランス革命批判の書である。西部邁なんかがよく引用するが、やはりこの本自体を読まねばらないだろう。
近代の革命による歴史の連続性の否定と理想主義の横暴を契機にして成立した保守思想は、あくまで近代的な概念である。その概念を発明したともいえるバークの議論は、現代においてもその有効性を失っていない。ただ、本書はあくまで「アンチテーゼ」であることを意識して読まねばならない。「テーゼ」はフランス革命なのである。そうでないと、現代人にとってあまりにもおかしな感覚に戸惑うことになる。
歴史は後から振り返ったときに革命的であることが好ましい。愛着と愛情、歴史性と固有性を無視した為政はたいがい悲惨な事態しか招かない。革命的なものは連続性の中で受容されていくほうがよい。
すなわち、革命と革命的なものは違うのである。