心の理論と蒟蒻問答

サンタフェ研究所の佐藤譲さんは、池上研のOBで、研究動機のシンクロ率が高い人だ。先日、4年ぶりくらいにたっぷり4時間佐藤さんと話して、研究テーマについて意見をもらった。

コミュニケーションとしての数学という話をしたら、それはフォン・ノイマンがそもそもゲーム理論でやりたかったことで、経済学の方への応用しちゃったけど、そもそもの動機は、数学者が2人以上いる世界の話だということだ。

金子守さんがそれに気がついてゲームロジックの方向に進んだのだという。だから金子さんの「ゲーム理論と蒟蒻問答」を読めと言われたので、早速Amazonに注文して読んでみた。

蒟蒻問答自体は本質的な問題を与えていますが、この本自体は既存の経済学者、ゲーム理論家に対して書かれているので、蒟蒻問答に至るまでの、普通の研究者達への反論にほとんどのページが費やされてます。

この本で書かれていたのは、

ヒルベルトの「証明論」にヒントを得たノイマンは、社会・経済状況における人間行動に関しての数学的理論として「ゲーム理論」を創始した。

・ゲーム論は、ヒルベルトの「証明論」に張り合うつもりだったノイマンの初期の意図とは全く異なるものになってしまった。

・晩年のノイマンは、「自己複製オートマトン」で「計算の理論」の生物学、脳科学そして社会理論などへの思想的発展性を示した。しかし、「計算の理論」

は依然としてゲーム論とほとんど無関係である。

・フォンノイマンの自己複製オートマトンの研究では、主体の内部構造がモデル化されており、その上でゲーム論をモデル化することが必要。

ということです。つまり、ノイマンが考えていたのはコミュニケーションの数学であって、コミュニケーションとしての数学ではなかったようです。

という内容のメールを佐藤さんに送ったら、今度はクワインを読めという指令が下った。読みまする。