エクストリームリーディング

1月3日からVarelaの"Principles of Biological Autonomy"を3日間連続でひたすら一日中(10時間くらい)読み続けるという勉強会を駒場でやった。目下のところ1時間2ページというペースだ。だいたい、数学書と哲学書は世の中で一番読むのが遅い本だ。この本は数学のある哲学書なので、いかんともしがたい。

終わらなかったので、6月まで毎日10時~13時まで続けることになった。今日もkskが遅刻してきたので、11時からスタートになる。

ここで実践しているプラクティスをエクストリームリーディング(eXtreme Reading)として紹介しよう。


通常、こういう本を読むときは、章ごとに担当者を決めてレジュメに落としてもらい、それを発表する。そのため、担当者は用意周到な準備が必要だし、その他の人もひととおり読んできていることが前提となっている。

しかし、エクストリームリーディングでは、事前準備はゼロ。その場で黙々と読み、数節ごとに議論をします。分からないことがあったらその場で互いに聞きます。

なんでこういう方式をとるかというと、
1.こういうエグイ本は、一冊読むのに100時間以上かかるため、強制的な環境をつくらないとなかなかちゃんと読む機会がない
2.本一冊の中で数十箇所ある重要ポイントのうち、一箇所大事なところの理解がはずれると、100時間の読書がまったくの誤解で終わることがあるので、むなしい。読書中に相互にチェックをしてこれを防ぐ。逆に重要でないところを飛ばすことも可能になる
3.短い単位で、節や章の意義をまとめるので、読み流しを防ぎ、論理構造を確認できる。
4.場所を分担してレジュメ発表すると、結局自分で読まないことがあったり、概念を誤解したまま多くのページを読み進めることが発生して無駄が多い。
5.レジュメ発表では見えない、他人の読書や読解の仕方が分かるのですごく勉強になる。すごい人の、思考の結果ではなくて、思考のプロセスが見えるから。
ペアプログラミングじゃなくてペアリーディングみたいなものだね。さすがに一冊の本を二人で同時にみることはしないけど、もしかしたらお母さんが子供に読み聞かせるのはペアリーディングという最高の教育法なのかもしれない)。

ちなみに、最適人数は5人程度だと思います。
他にもプロジェクターを使って、節ごとの内容のまとめや、言葉の定義を同時に書いていくなどのノウハウがいろいろあるので、もしやってみたいという人があれば、ノウハウを伝授します。