ringoとデート

茂木さんのクオリア日記で国立科学博物館が絶賛されていたという理由で、ringoが行ってみるというので、一緒に上野の国立科学博物館に行ってきた。11月に新館ができて、地上3階地下3階に自然史を中心にかなりの量が展示されている。

例えば、熱帯雨林の1本の木にどれくらいの虫が住んでいるかは今まで分からなくて、1本の大木から虫を採集し分類するという気の遠くなる作業の結果、数千種類の虫が(なんとハエだけで400種類)住んでいることが分かった。その標本(の一部)を見ているだけで、生態系というものの奥深さが伝わってくる。

また、1Fの生物多様性のコーナーは標本のディスプレーの仕方がすばらしく、三葉虫のコーナーでは、池上さんが三葉虫好きな理由が少し分かった。

生命進化の体験コーナーでは、RNAがスープの中を漂っていて、指で膜を書くと細胞になるというのがあって、子供が一生懸命タッチパネルを触っていた。やっぱ膜って大事なのね!

物理のマイケルソン・モーレーの実験は、ぼくが一番好きな実験で、10年ぶりに実験装置に出会ってとてもうれしかった。驚くべきことに光速度を最初に測定したのは1600年代後半で、21万km/sとオーダーは合っているなど、物理出身の僕でも知らないこともたくさんあった。

最近は研究テーマのおかげで人類史に興味がでてきたので、旧人の骨格を見てはふむふむとうなり、道具の進化を見てはringoとゲームに応用できないかを議論した。

博物館というのがこんなに楽しいものだとは、この年になるまで知らなかった。子供(小学校低学年くらい)がたくさんいたけれど、内容を理解するには高学年から中学生くらいの知識が必要だし、書いてあることの意義を理解し、自然のすばらしさと先人の偉大さに感動するためには、高校から大学生くらいがいいだろう。

ぼくは文系家族に育ったので、子供の頃は美術館にはよく連れてかれたけど、博物館に連れてかれたことはなかった。体験コーナーで遊んでいる子供をみて、ちょっとうらやましかったかもしれない。

先人のすばらしい仕事を見るとやる気がでてくる。彼らが始めて発見したときの感動を想像すると、それだけでわくわくする。研究の意図や動機はどこにも書かれていないけど、研究成果という作品から自然に理解できるような気がする。ぼくもそういう仕事がしたい。

ringoとは勘所が合うので、一緒に観ていても楽しい。恐竜はいらなくて、生物多様性と物理のコーナーがお気に入りだ。1日ではとても見終われなかったので、明日もringoとデートする予定だ。

(注)ringoは男友達です。