最小発火の原理

NHKスペシャル立花隆 最前線報告 サイボーグ技術が人類を変える」をさきほどようやく見た。

この番組で紹介されている研究の一部は、すでに以前ブログで書いたことがある。

神経接続(Brain Computer Interface)

神経接続(続き)

前庭に電気刺激で加速度を感じる

番組そのものから新しく得られる知識はあまりなかったが、論文で読むのではなく映像で見ることによって得られるリアリティがやはりある。そういった意味ではとてもよい番組だった。

一年間もの間、ISEDで情報社会論について議論しているが、これは古い情報社会論にすぎない。神経接続以降の情報社会論についてぼくが話すと失笑に付されるというというのが、この研究会の限界であり、僕の司会力の限界だろう。

ロボットとサイボーグは、既存の情報技術におけるAI(Artificial Intelligence)とIA(Intelligence Amplifier)という二つの足にそれぞれ相当し、情報社会論がコミュニケーション論から物理的世界との相互作用の問題に移行する大きなインパクトをもっている。(もちろん再度神経接続後のコミュニケーション論を考えねばならないが)

愚痴はさておき、ひとつだけ面白いアイデアが浮かんだ。脳には「最小発火の原理」というのがあるのではないかという仮説である。番組中、適応後の患者のfMRIでは、脳の発火範囲が圧倒的に少なくなっている。学習をするということは、発火範囲を少なくするという方向なのではなかろうか。普通のNNのモデルだと、対称なので発火と非発火の意味はかわらないことが多い。実際はそんなことはないだろう。脳は、質量は人間の体の2%ほどだが消費エネルギーが20%もくっているという臓器である。同じことを学習できても発火量が少ないほうが進化的に生き残る可能性は高い。機能局在の問題は、機能局在そのものではなく、最小発火の結果として起きているのではないだろうか。

などという誰でも思いつきそうなことを思いついたので、明日茂木さんに話してみよう。

よく考えると対称じゃないモデルもたくさんあるな。